現場から

四国大学のスタジオで、「介護のカタリバ」実施~介護施設で活躍する元留学生の「語りとロールプレイ」を楽しむ~

 

2月20日(火)の19時から「介護のカタリバ」を実施しました。これは、昨年11月に実施した「セミナー:現場とつながる介護の日本語―他領域との連携で考える「外国人介護人材の育成」」の第2弾となります。第1弾のセミナーに関した記事としては、以下のようなものがあります。

     四国大学「第2回留学生介護短歌コンテスト」授賞式に参加して~短歌に託す介護への思い~

              https://acrasweb.jp/?p=1525

■11月のセミナーで出た「もっと知りたい外国人介護人材の声」

11月のセミナーでは、福祉現場従業者や人材育成に関わる方々等広く呼びかけ、さまざまな領域の方にご参加いただきました。内容は以下のとおりです。グループでの話し合いなどを設定し、しっかりと「介護現場のコミュニケーション上の困りごとや課題の共有」をテーマに話し合いをしていただきました。

   *アイスブレイク

   *お話:日本語教育の新たな動き & 人とつながる介護の日本語

   *グループワーク:介護現場のコミュニケーション上の困りごとや課題の共有

そこでは、さまざまな意見が出されました。少し例として挙げてみましょう。

*外国人労働者を地域が受け入れるために、労働現場に限らず、地域コミュニティ全体で共生について考えていくことが必要だと思いました。

* グループでいろいろな立場の方と話せてよかった。学生の話が聞けてよかった。

*今後も外国人人材を多く受け入れると思うので、もっと学びを深めたい。

*今後も関係性を持ちつながっていければと感じています。

*コミュニケーションの大事さ、自分も日本語を勉強しなければと思いました。

そこで、「次は、外国人介護従事者にインタビューをして、それぞれの思いをしっかり聞いてみよう」ということになり、「介護のカタリバ」の実施となりました。

■「介護のカタリバ」で、現場の課題を語ってもらおう!

11月のセミナーを受け、第2弾として2月20日(火)、四国大学のTAG・RI・BAスタジオより、ZOOM配信にて「介護のカタリバ~利用者を支える仲間とともに~」という研修会を実施しました。スタジオには、3人の外国人介護従事者にお越しいただき、神戸や大阪でお仕事なさっているお三方にはオンラインで参加という登壇形態です。そして、今回はオンライン実施とあって、東京や大阪など各地から介護関係者、日本語支援者、行政の方、区議会議員の方など、多分野・多領域からのご参加となりました。

まずは、外国人介護従事者の方に小倉先生からインタビューです。介護現場でどんな仕事をしているか簡単に紹介をしてもらい、介護現場でのコミュニケーションを中心にいろいろな事を聞いていきました。

■インタビューで語ってくれたこと

5人の方にインタビューを実施しましたが、4人の方は四国大学で小倉先生が教えられた方々、もうお一人は教え子の奥さまで介護施設で働いている方です。インタビューは「1.介護という仕事を選んだ理由、2.勉強をしている時大変だったこと、3.今の仕事について、4.やりがいと楽しいこと、5.大切にしていること」の5つの項目を中心に行われました。皆さんのお話を一部紹介したいと思います。

1)チャインさん(ベトナム出身)

     四国大学を2018年度卒業、

今は、特養で仕事をしています。

*利用者さんとの触れ合いとか、地域の触れ合いがあって楽しいです。

*大変なこともあるけれど、ご利用者さんと一緒に楽しい時間を作ります。職場の方々も私を応援してくれます。小さいレクで、文化紹介というか、いろいろ国の言葉(ベトナム語)とかをみんなで楽しんでいます。

2)イエンさん(ベトナム出身)

    四国大学を2019年度卒業、

訪問介護のお仕事をしています。

*もともと他人の世話をすることが大好きで、ベトナムでも看護師を勉強しまして、日本の介護を勉強したいと思ってきました。

*訪問介護なので、買い物同行通院とかいろいろあるので、コミュニケーションが大切です。そして、利用者さんの自宅に行って、いろいろ勉強できます。例えば部屋の形、夏の対策など勉強できます。 

*私にとって大切なのは人間関係。信頼関係があったら、ミスがあっても、利用者さんは許してくれます。

3)フックさん(ベトナム出身)

    四国大学2019年卒業、

介護施設勤務(特養)4年目です。

*一番大変だったのは、日本語の専門用語と日本語能力試験の両方勉強するため、ちょっと難しかったです。

*やりがいは、利用者とのコミュニケーションで、利用者の笑顔を喜びを見ることができることです。さらに、利用者の家族から信頼を得ることもやりがいの一つです。

4)ルナさん(バングラデシュ出身)

    四国大学2022年度卒業生の奥さま、

介護施設勤務約2年です。

*人の世話をすることが好きです。特に、お年よりと話すことが好きですから、介護の仕事を選びました。

*利用者と話しすることが楽しい。介護の仕事で一番嬉しいは、利用者から「ありがとう」と言われた時です。ご飯とお茶ほしい、持って行った時、「ありがとう」と。

*コミュニケーションがとても大事だと思っています。

5)アムリタさん(ネパール出身)

    四国大学2023年度卒業予定、4月から介護福祉施設(グループホーム)勤務予定です。

*アルバイトしながら、日本語の勉強と介護の技術も勉強して、漢字の読み仮名とか勉強も大変でした。

*介護で大切と思っていることは、思いやりの姿勢の信頼関係を築くことができるし、利用者さんが安全と安心するように環境を整えること、こまめなコミュニケーションをあげることと、利用者さんとコミュニケーションして学ぶことがたくさんある。それから、前向きな考え方、ポジティブなことで考えていたら、ストレスが減ると思います。

■ロールプレイ実践!

さらに、今回の「介護のカタリバ」の大きな特徴の一つは、次に行った「外国人介護従事者と小倉先生とのロールプレイ」です。スタジオで、オンラインで、はたまたスタジオとオンラインで、四国大学の授業で使っている『人とつながる 介護の日本語』の第4課「衣服着脱」に載っている2つのロールプレイを実際にやってみるという企画です。

ロールプレイの内容は、こちらのURLからご覧ください。

/https://acrasweb.jp/wp-content/uploads/2024/03/4課ロールプレイ49ページ.jpg

   ロールプレイ1 利用者さんと介護スタッフ 二人ともオンライン

   ロールプレイ2 利用者さんと介護スタッフ 二人ともスタジオ

   ロールプレイ3 介護スタッフ同士     それぞれオンラインとスタジオ

ロールプレイ実施後は、オンライン参加の方々にBORに参加していただき、外国人介護従事者を中心に、現場でのコミュニケーションについて話が発展していきました。

■3つのロールプレイ実践、ご覧ください!

「介護のカタリバ」で実践してくださったロールプレイは、介護従事者の皆さんが<どんなふうに、この場面、この文脈でやり取りをしているのか>について知っていただきたいと思い、卒業生の方々にお願いして実施することにいたしました。これをご覧になった参加者からは、利用者さんの思いを受け止めたやり取りなどに感嘆の声があがりました。

そこで、今回は、貴重なロールプレイ実践を多くの方に見ていただきたいと考え、ロールプレイ部分をYouTubeで公開することとしました。主催者である四国大学の元木先生、小倉先生をはじめ、ご協力くださった先生方に感謝いたします。

では、どうぞご覧ください。このビデオを多くの方々に見ていただき、「介護現場でいきいきと活動する外国人介護従事者の姿」を知っていただく機会になることを願っています。

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