現場から

 四国大学「第2回留学生介護短歌コンテスト」授賞式に参加して      ~短歌に託す介護への思い~

     

11月11日(土)四国大学にて<現場とつながる介護の日本語~多領域との連携で考える「外国人介護人材の育成」>というテーマの研修会を実施しました。対象者は、福祉現場に従事なさっている方、人材育成にかかわっている方、国際交流協会の方に加え、現在四国大学で介護と日本語を学んでいる留学生です(出身は、中国、ベトナム、ネパール)。

多様な参加者であることから、「皆さんに分かりやすく、興味深い内容にするには・・・」と準備の段階からアレコレ考え、当日も伝え方などに工夫をこらして研修を進めていきました。まずは次のようなメニューでお話をし、その後は、グループディスカッションです。

    *日本語教育の新たな動きを知る

    *「人とつながる介護の日本語」をめざす

    *「日本語会話試験JOPT(介護)」を活用する

グループディスカッションのお題は「介護現場のコミュニケーション上の困りごとや課題を共有する」です。終わってからの共有タイムでは、それぞれの立場からさまざまな意見が出されました。これについては、2月に実施する第2弾で、改めて報告したいと思います。

      <介護のカタリバ ― 利用者を支える仲間とともに―>

           *2024年2月20日(火)19時~20時30分 

           *四国大学 TAG-RI-BAスタジオから、ZOOM配信

松重学長が賞状授与のあと、コメントを述べていらっしゃいます。

この記事では、研修会の最初に行われた「介護短歌入賞者表彰式」についてお伝えしたいと思います。「なぜ四国大学で「留学生介護短歌コンテスト」が行われるようになったのか」については、以下の記事をご覧ください。 

  留学生による介護短歌のご紹介

 ~『人とつながる 介護の日本語』に掲載された短歌より~

      https://acrasweb.jp/?p=680

今年のコンテストの結果は、次のとおりです(今年は、24首集まりました)。

金賞  利用者の 言葉と思い 傾聴し 心の叫び 寄り添いたい

                           韓 亦珊さん

銀賞  利用者の 笑顔を見ると 疲れ癒え 背中を見つめ 幸せ願う

                           尹 暁聡さん

銅賞  七夕の 昔の話 短冊に  「彼に会いたい」  星空ながめ

                           グエン ティ フォン チーさん

銅賞  ふるさとの 祖父母のようだ 利用者の 幸せ支え 生きがい支援

                           グエン ティ キム アインさん

         🎵      🎵     🎵

ここで、『人とつながる 介護の日本語』に載っている昨年の短歌を紹介しましょう。今年の作品と比べてみてください。(2022年の短歌は『人とつながる 介護の日本語』p.159にあります)

韓さん

 2022年  介護する 笑顔をみたい やさしくて 家族のような 利用者さんの

尹さん

 2022年  介護とは 不自由な方の 身の回り 援助をしたり 自立を支援

チーさん

  2022年  利用者さん 朝起きてから 身だしなみ 整え今日も いい一日を

    金賞の韓さん(右)と銀賞の尹さん(左)です。

学生さん達の1年間の日本語の伸び、そして、介護に対する想いが深まっていることを実感させられました。さて、来年のコンテストでは、どんな作品が飛び出すのでしょう。今からとても楽しみです。

追記:お二人が持っている賞品について、「介護の日本語」を担当なさっている小倉和也さんにお尋ねしてみました。

金賞は、徳島の伝統産業である藍染めを一部に施した木で作られた造花です。いつでも、この花を見ると徳島のことを思い出してもらえ、介護短歌に込めた自分の気持ちを大切にしてもらいたい願いで選びました。

銀賞は、阿波踊りと眉山の切り絵です。授業で初めて体験した徳島の文化だったと思います。阿波踊りも基本を大切にしながら、時代とともに変化しています。介護も同じことがいえると思います。不易流行の思いを込めて選びました。

TOP