現場から

学生賞・卒業生賞もあるスピーチコンテスト~青山国際教育学院のスピーチ大会に参加して~

2月16日(木)、渋谷の文化総合センター大和田さくらホールにて、青山国際教育学院(以下、青山国際とします)の第34回スピーチ大会が行われました。コロナ禍のため学内での実施が続き、3年ぶりのホールでの開催となりました。久しぶりの参加に、私もわくわくしながら出かけていきました。

■優秀賞等に加え、オリジナリティある賞に感動!

このスピーチ大会のすばらしさの一つに、参加した学生さん達による「学生賞」や、卒業生によって審査される「卒業生賞」があります。全部のスピーチが終わり、5人の審査員が審査員室へと移動を始めると同時に、学生さん達による投票が始まります。会場にいる学生さん全員が「一番良かったスピーチ」に投票していきます。他のスピーチ大会でも、「観客賞」などはありますが、青山国際では、学生さんや卒業生に特化した賞を大切にしています。

それに加えて、審査員のお一人<落語家:桂米多朗さん>によって、「米多朗賞」が授与されます。今回の商品は、米多朗さんの落語DVDでした。温かいコメントに加え、「これを聞いて日本語を勉強してくださいね」という言葉が添えられ、受賞者もにっこり!受賞したのは、フィリピン出身の初級クラスの学生さんでした。

■初級から上級クラスまでミックスしての実施

今回は、14のクラス代表によるスピーチ大会でしたが、午前部と午後部に分けて実施するのではなく、休憩をはさみ、全て一緒にする形となりました。出場者の名前のところには、クラス名も記されており、さらに「クラと日本語レベル」に関する説明も付記されていました。

      SA=進学クラス  SS=大学院  A,B=上級 C~E=中級 

      F~I=初中級   J~L=初級クラス

米多朗賞を受賞した学生さんは、初級クラスで、しかもトップバッター。スピーチ大会で最初にスピーチをするのは大変です。しかも初めて訪れた大きな会場(さくらホールは、1階席535席、2階を含めると定員735名という大会場)、どんなにか緊張したことでしょう。会場からは大きな拍手が沸き起こりました。

■優勝は、「言葉の暴力 目に見えないナイフ」に!

優秀賞を受賞したのはヴ ホアン ヴォンさん、タイトルは「言葉の暴力 目に見えないナイフ」でした。自分の辛かった体験をもとに、言葉によって人をいかに傷つけてしまうかについて、みごとな構成で語ってくれました。言葉を学ぶことの大切さと同時に、私達みんなが忘れてはいけない「言葉の暴力」というテーマ……いろいろなことを考えさせてくれたスピーチでした。

ここで、スピーチのタイトルを紹介したいと思います。体験を交えて、自分の考えをしっかり組み立てたスピーチばかりでした。各クラスで代表を決め、みんなで応援しながら練習を重ねただけあって、プレゼンも見事なものでした。

  • 子どものように日本語を学ぼう
  • 感謝の言葉
  • 私も上まで登りたい
  • 料理大好き
  • 成績が悪いと悪い学生に違いないのでしょうか
  • 言語の力
  • 神様になりたい
  • もうすぐ
  • どこでも神社
  • 言葉の暴力、目に見えないナイフ
  • 終電に間に合わなかった人はどこへ行ったのか
  • 目的
  • どうしてゲームをやっていますか
  • 私の選択だから

■みんなで作り上げるスピーチ大会

青山国際のスピーチ大会は、学生さんが主体となり、司会、写真撮影、プログラム表紙デザインなど、すべて学生さんによって行われています(スタート前、終了時の司会は教師担当)。学生賞、卒業生賞に加え、これが大きな特徴となっています。

大勢の先生方は黒子に徹し、受付、会場係、舞台裏等々、それぞれの担当に力を注いでいらっしゃいました。当日ばかりでなく、このスピーチ大会に向け、クラス代表を選び、練習にクラスメートとともに寄り添ってきた時間は、楽しいひと時ではあったものの、大変だったことでしょう。

  ・3年ぶりの大きな会場での大会、ちょっと手順が心配で‥…。

  ・学生さん達も、こんな大きなホールで、ちょっと飲まれてしまっているようです。

  ・クラス代表になれなかった学生さん達、本当に悔しそうでした。でも、その後は、

   みんなと一緒に代表者をサポートしていました。

等々、大会が恙なく進行することを祈りながらも、久々の大ホールでのスピーチ大会実施の喜びがあふれていました。

少しずつコロナ禍から解放されていっている教育現場、ぜひこの流れが続くことを願っています。

参考:

  年輪を感じさせる留学生スピーチ大会~第27回青山国際教育学院スピーチ大会」に参加して~

        /http://www.acras.jp/?p=5243

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