皆さんは、英語歌舞伎をご覧になったことがおありでしょうか。今日は、ポートランドで長年、学生さん達と一緒に英語歌舞伎に取り組んでいらしたコミンズさんの活動、そして、奥様の寿美さんのコラムについてご紹介したいと思います。
ローレンス・リチャード・コミンズさんは、ポートランド州立大学にて、大勢の学生さんの指導に当たり、昨年6月末に退職されました。コロンビア大学院時代には、ドナルド・キーンさんの指導のもと博士論文を完成、キーンさんの愛弟子のお一人です。そんな関係から、キーン記念財団の理事を務める私とのご縁が生まれました。
コミンズさんは、2022年4月春の外国人叙勲を受賞されました。その時の紹介文を記します。
ローレンス・リチャード・コミンズ氏は、ポートランド州立大学日本研究センターの創設に中心的な役割を果たし、同センターの運営を通じて同大学における日本研究・日本語教育の拡充に貢献するとともに、同センターにおける日本文化及び日本の歴史の紹介に尽力しました。また、数多くの学生に対し日本語及び日本文学並びに日本の伝統舞台芸術を指導するとともに、日本の古典芸能に関する著作や学術論文の発表、専門誌への寄稿、講演等を通じ、日本の伝統文化に関する学術研究の発展と日米間の文化交流の促進に寄与しました。
さらに、自らも日本の古典演劇の担い手として狂言師、日本舞踊家の下で研鑽に努め、これまでに日米両国で75回以上、能、狂言及び歌舞伎の公演や講習会を実施するなど、日本の古典演劇の普及に多大なる貢献がありました。
2022年9月には、早稲田大学で、学生さん達と一緒に英語歌舞伎を上演。公演は満席で、英語歌舞伎を初めて観る方々も喜ばれ、大きな拍手で幕を閉じました。
*英語歌舞伎「鰯売恋曳網(三島由紀夫作)上演をめぐって /
https://www.waseda.jp/enpaku/ex/16538/
今年は「英語歌舞伎:弘知法印御伝記」を、5月にはポートランドで、9月には日本(新潟県・柏崎)で上演されることになっています。また秋が近づきましたら、ご案内をしたいと思います。この公演は、ドナルド・キーン財団の代表理事であるキーン・誠己さんとコミンズさん(寿美さんのご主人)とのコラボによるものです。
コミンズさんの素晴らしいところは、歌舞伎を教えるというだけではなく、若い時から、義太夫、お仕舞など、ご自分でも稽古を重ねてきたことにあります。英語歌舞伎では、学生さん達に歌舞伎の指導、ご自分は英語で義太夫を語り……と大忙しです。また、奥様の寿美さんは「学生さん達が、さらに幸せな気持ちで歌舞伎に取り組めるように」と、いろいろ工夫をして鬘や衣装を準備なさっています。
遠く離れたポートランドでのこうした取り組み、本当に素晴らしいと思います。2016年の「仮名手本忠臣蔵」は大きな話題となり、NHKでも取り上げられました。今でも、You-Tubeで見ることができます。
Revenge of the 47 Loyal Samurai 1of 2
Revenge of the 47 Loyal Samurai 2 of 2
次に、寿美さんのコラムについてご紹介したいと思います。
翻訳学校である「サン・フレアアカデミー」が運営する「翻訳ひといきコラム」というサイトがあります。
寿美さんはそのサイトに2007年より寄稿なさっています。コラムの名前は以下のとおりです。
Did you know that?
ねえ、知ってた? アメリカのあんなこと、日本のこんなこと
沢山の記事がアップされており、どれもすてきな記事ですが、その中から今回は、「英語歌舞伎/古浄瑠璃」関係の4件の記事を紹介したいと思います。「英語歌舞伎」に関心を持っていただくきっかけとなることを願っています。
<翻訳ひといきコラム>
日本滞在〜新潟「西生寺」参拝〜③
日本滞在〜「弘知法印御伝記」について〜②
日本滞在〜英語歌舞伎講演会とドナルド・キーン展示会〜①
No.75 「ドナルド・キーン先生のこと」
追記:2023年1月には、コミンズさんの受勲祝賀会をオリエンタル文庫でしました。
その時には、レストランにゴザを敷いて、「弘知法印御伝記」の稽古風景を見せて
くださいました。以下は、そのときの稽古風景の動画です。1分程度しか載せていませんが、雰囲気を知って
いただければ、と思います。。