ちょうど10年前の今日、私は20数年勤めたイーストウエスト日本語学校(以下EWとします)を去りました。ずっと仲間とともに仕事を続ける予定だったEWを突然去ることにしたのは、辛い決断でした。しかし、それから10年、とても充実した日々を送ることができたのは、皆さまとの対話、協働があったからと、感謝の念でいっぱいです。ここで、ちょっと「これまで」を振り返り、次のステージに向けての思いを記したいと思います。
辞めることを決意したのは2011年12月1日、翌年3月までに残された時間はあまりなく、しかも仕事に忙殺される毎日でした。そんな中で、以下のように方針を定め、次に向けての構想を練り始めました。
1)今は「次の職場」は探さない。一度立ち止まって「日本語教師としての自分」と向き合う時間とする。
2)しかし、みんなが集える場所だけは作っておく。そして、組織に属さないなら、自分で「何か」を作る。
3)もうすぐ満1歳の誕生日を迎える『できる日本語』は、仲間と一緒にしっかり育てていく。
4)EWの副校長は辞めるが、先生方との絆は、より深く、より発展させていく。
そこで、「アクラス日本語教育研究所」を作ることにした私は、まず「EWから歩いて行ける距離/駅から近いこと」という基本路線に沿って場所を探し始めました。「一般社団法人」設立に関しても、少しずつ進めていきました。先が見えない中での準備でしたが、「なんとかなるさ!」「きっとすばらしいことが待っている!」という気持ちで乗り切ることができました。
アクラスの命名は、これまでも何度かご紹介してきましたが、以下のとおりです。
ラテン語の[Cras:明日]に、フランス語の[À demain]の[À]を付けて、「ACRAS」と命名しました。「どんなことがあっても、どんな時でも、希望を持って、明日に向かて行こう!」という思いを込めて付けました。
アクラスがスタートしてすぐに始めたのが、「アクラス研修」です。最初は張り切って月に2回のぺ―スでの実施でしたが、次第に、私自身が忙しくなり、月1回、やがて隔月になっていきました。そして、2年前にはコロナ禍となったことから、「アクラスZOOM寺子屋」を始めることにしました。
こうしてアクラスで研修活動を続けてこられたのも研修会の講師にボランティアで応えてくださる先生方、そして参加してくださる方々のお蔭です。まさに皆さまに支えられての10年でした。10年の研修会等の足跡は、こちらにまとめてあります。
新「学びの玉手箱」:
https://acrasweb.jp/wp-content/uploads/2023/09/新・学びの玉手箱2012年6月~)2023.79.11.pdf
研修活動を例に挙げましたが、10年間でやってきたことを挙げたらきりがありません。実に充実した日々であり、思いもかけない展開もありました。こうしたことは、多くの方々との関わりの中でこそやり続けられたことであり、これからも「自分にできること」を仲間と一緒に続けていきたいと思います。
最後に、アクラスの次のステージに向けて、たくさんの「やりたいこと・すべきこと」の中から、5点だけ挙げておきたいと思います。
*「出会いと対話の場」として、アクラスを生かしていくこと。
*アクラスならではの研修会の実施に力を注ぐこと。
*情報発信を行い、人々の「つながり」の広がり・深まりのために努力すること。
*「できる日本語」シリーズを、ユーザーの皆さまとともに育て続けること。
*生まれたばかりの「JOPT」を協働によって育てていくこと。
※JOPT=Japanese Oral Proficiency Test
どうぞこれからもアクラス日本語教育研究所をよろしくお願いいたします。
2022年3月22日 嶋田和子