現場から

英語歌舞伎「弘知法印御伝記」、大隈講堂で上演!

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9月20日(水)早稲田大学・大隈講堂にて、英語歌舞伎『弘知法印御伝記』The Adventures of High Priest Kôchiが上演されました。上演者は、オレゴン州ポートランド州立大学で長年教鞭を取られたローレンス・コミンズさんと、ポートランド州立大学の学生さんや卒業生の皆さんです。そして、コミンズさんの奥様である田中寿美さんをはじめとする素晴らしい協力者の皆様によって、作り上げられました。

実は、この英語歌舞伎は、今年5月には、ポートランドで4日間上演され、大好評でした。今回の早稲田大学での公演は、その時行った英語歌舞伎The Adventures of High Priest Kôchiを半分ほどに短縮したものです。さらに、23日には新潟県柏崎市の産業文化会館で上演されます。こうして遠くポートランドの地で、日本文化を愛し、英語歌舞伎に毎年学生さん達と一緒に取り組んでいらっしゃるコミンズご夫妻に、感銘を受けました。寿美さんは、衣装や鬘を研究し、みんなで作成するなど、裏方として英語歌舞伎を支えていらっしゃいます。お二人に関しては、以下のような記事を載せていますので、どうぞご覧ください。

     <英語歌舞伎のコミンズご夫妻>のご紹介

~日本の文化に魅せられて~

           https://acrasweb.jp/?p=761

パンフレットには、児玉演劇博物館長の「ごあいさつ」に、今回の英語歌舞伎を上演するに至った経緯、また、「弘知法印御伝記」について1685年の初演から始まり、どのようにして発掘され、現在に至っているかについて、詳しい説明が書かれています。

      https://acrasweb.jp/wp-content/uploads/2023/09/「ご挨拶」児玉竜一館長2023.9.20.pdf

私はこの中で、特に以下の部分を皆さまにお伝えしたいと思います。

……前略……当時の日本では、貴重なものは内部の者が調査してからでなければ外部者の発表は許さない、といったことも珍しくありませんでした。そうした事例が念頭に浮かびながらも、世界中でここだけにしかない孤本であるということを伝えながら、ぜひ紹介させてもしいと一生懸命に頼む鳥越に、大英博物館は想像もつかなかった答えを返します。曰く、「それほど貴重なものなら撮影費も要らない。自由に紹介、発表してもらって構わない。ただ一つ、大英博物館所蔵であるということだけは明記してほしい。条件はそれだけです」。

 資料とは公開すべきもの。後に演劇博物館で鳥越文藏館長が実践した大々的な資料公開を導く、大きなカルチャーショックが、この大英博物館での体験だったのです。

 ちなみに今日では、この「弘知法印御伝記」正本は、国書データ(https://kokusho.nijl.ac.jp/)を通して、全丁のカラー写真を、いつでも、どこでも、見ることができます。

また、配布されたパンフレットには、「弘知法印御伝記」上演台本が21ぺージにわたり英語と日本語で掲載されています。観客は、それぞれ自分に合ったスタイルで、英語歌舞伎を楽しむことができた2時間でした。

アメリカの大学生や卒業生による英語歌舞伎、さらに輪が広がっていくことを願っています。

追伸:9月22日 NHK World で紹介されました。

The story on the Tokyo show is just aired today on NHK WORLD.  You can watch it here on this link.

       https://www3.nhk.or.jp/nhkworld/en/news/videos/20230922152001780/

ポートランド上演の様子(パンフレットpp.7-8)
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