現場から

イーストウエスト日本語学校「2022年度俳句コンテスト」結果発表~選句用紙に書かれた温かいコメントに感動!~

今年もイーストウエスト日本語学校では、校内俳句コンテストを実施しました。選句をしてくださった方々に心よりお礼申し上げます。選句をしてくださったのは、約350名!こんなに大勢の方に留学生の俳句を知っていただくことができ、嬉しく思います。

  ・ご近所にお住まいの方々、お店の方々

  ・ボランティア団体「風の会」(毎週EWで「日本語サロン」実施)

  ・「こんにちはカフェ」(中野区のボランティア団体)

  ・中野区役所の職員の方々

  ・中野区国際交流協会(ANIC)のスタッフの方々、ボランティアの方々

  ・杉並区交流協会(SACE)のスタッフの方々

  ・東京立正短期大学の先生や学生さん達

  ・広島大学の先生や学生さん達

  ・銘傳大学(台湾)の学生さん達

  ・ビジターセッションに参加した大学生の方々

  ・EWの先生方やご家族の方々

     等々

  

では、結果を報告したいと思います。

第1席 夜歩きで 金木犀の 香り道 (刘丹青さん)

第2席 稲の穂に 涼風そよぐ 金の海 (刘鸿健さん)

第3席 秋の風 舞う葉は誰の 手紙かな (郑淇心さん)

ユーモア賞 かもカモン 連発しても 反応なし (陈杰克さん)

センチメンタル賞 秋風に 揺れているのは 心かな (聂雨曦さん)

皆さまから頂いたコメントは、留学生の俳句に感動した気持ちや励ましの言葉、同じような経験からの共感などがつづられていました。中には「こうしたらもっとすてきな俳句になりますよ」と、コメント欄を使って指導をしてくださった方もいらっしゃいました。こうした温かいコメントは、留学生にとって素晴らしい思い出となります。来年は、もっと双方向のやり取りができるような形にしたいと思っています。

ここで、コメントを紹介したいのですが、とても沢山のコメントがあり……。そこで、各句に2つずつコメントを記すこととします。

第1席 夜歩きで 金木犀の 香り道

  *秋になると、私の家の近所にあるたくさんの金木犀が咲き、とてもいい香りがします。

   大学から帰ってきて、混み合う電車から脱出すると香ってくるあの秋の様子がぱっ

   とうかびあがってきたので、これを選びました。

  *夜の散歩で暗い道を歩いていると金木犀の香りが漂い、道全体が香るようだ、という  

   句の中に、絵のように情景が浮かぶとともに香りもしてくるような鮮やかさがあり

   ます。すばらしい!!

第2席 稲の穂に 涼風そよぐ 金の海

  *目の前に素敵な場所があったのですね。目に浮かびました。その美しい稲は、おいしいごはんになり、

   みんなの口に入り、笑顔になります。

  *豊かな実りの秋を思わせてくれるすてきな句だと思いました。コロナ禍の現状と考え合わせると、

   明るい未来が待っているような、希望の持てるような印象を受けました。

第3席 秋の風 舞う葉は誰の 手紙かな

  *想像力がかき立てられるので選びました。だれの手紙であることを期待しているのかな?もしかしたら、

   想っている人がいるのかな?「手紙」というのもちょっと古風で、文学的でいいですね。

  *秋になると、街中で落ち葉が舞う風景をよく見ますが、無機質なワンシーンとして捉えるのではなく、

   誰かの想いをのせたものとして見る視点がロマンチックで素敵に感じました。

ユーモア賞 かもカモン 連発しても 反応なし

   *最近たくさんかもの動画を見ましたから、この俳句を見て、なんとなくその画面が頭の中に浮かんで

    きました。とてもかわいいです。めっちゃ好きです。

   *この句をよんだ方の、カモに話しかけるお茶目な姿が目に浮かび、ほほ笑ましかった。反応がなかった

    というオチも、ユーモラスで素敵でした!(カワイイ句だね!)

センチメンタル賞 秋風に 揺れているのは 心かな

   *「秋風に~」といおう情景描写と、「~心かな」という心理描写の重なりが見事。共感できるし、

    美しい句ですね。

   *秋の変わりやすい天候と風向きに心を対比させているのがおもしろいと思いました。女心と秋の空を

    連想しました。一番美しい俳句だと思います。

地域の方々に、選句のお願いに伺うと、「そろそろかな、って思ってました。毎年楽しみにしてますよ」「本当に留学生の人達、頑張ってますね。また楽しませてもらいます」という

温かい言葉が返ってきます。中には、ずっと前に卒業した学生さんの話で盛り上がったりすることもあります。ご近所のお店屋さんとの交流が長く続いているのは、すてきですね。こんなお声も聞かれました。

なかなか良い俳句ばかりで、選ぶのが本当に難しいですね。 私は、意外と、”かもカモン 連発しても 反応なし”が、 留学生の様子と状況が鮮明に頭に浮かび、笑ってしまいました。
俳句に感動して日本に来たという外国の方が意外と多く、日本に来たら、日本の若い人は俳句を知らなくてショックだったと言われました。 私も、外国の方から、日本の文化や良さをいつも教えていただいています。このような機会を当協会にもくださり、感謝申し上げます。 

もう何十年も続いている俳句コンテスト、毎回たくさんの感動があり、地域の方々とのやり取りがあります。いつまでも続くことを願ってやみません。

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