現場から

中野「ちえるあるこオリンピック」は大盛会!               ~多文化共生まちづくりをめざして走り続ける大学生~

11月12日(土)に、「中野にぎわいフェスタ」のイベントの一つとして、中野セントラルパークにて「四季の森にぎわいイベント」が行われました。さまざまなお店が並ぶ中、明治大学国際日本学部山脇ゼミでは、「ちえるあるこオリンピック」を開催しました。

このイベントは、1年という月日をかけて、さまざまな人々と一緒に作り続けたイベントです。そのプロセスを振り返りながら、大学生が地域社会との関わりをいかに大切にし、活動を続けているかについて、紹介したいと思います。

■出発点は「ダイバーシティ・プレゼンコンテスト」(2021年度)

2021年10月10日に、東京都主催、大学生による「ダイバーシティ・プレゼンコンテスト」が開催されました。明治大学からは山脇ゼミが参加、最優秀賞を受賞しました。その時のテーマは、

  「Cxielarko(ちえるあるこ)~共に彩る、東京の未来~」

でした。主張は以下のとおりです。

※詳しくは、こちらをご覧ください。→ 

    /https://www.meiji.ac.jp/nippon/info/2021/6t5h7p00003cya0t.html

山脇ゼミのプレゼンでは、外国人住民が地域社会に居場所を見出し、日本社会の一員と感じられる社会の実現のため、「Cxielarko」(ちえるあるこ)というスペースを中野区につくるという提案を行いました。外国人と日本人がお祭りなどのイベントづくりで協働することで、共に日本社会をつくるという意識を創出することをめざして、このような提言を行いました。

こうして、1年後の11月実施に向けて、大学生は走り出したのです。

■外国にルーツを持つ人々との協働をめざそう!

これまで山脇ゼミでは、さまざまな多文化共生をめざしたイベントを実施してきましたが、今回は新たな目標を立てました。それは、ゼミ生だけが実行委員として活動するのではなく、外国にルーツを持つ人々との協働によって、イベントを創り上げていくことでした。すぐにこんなお知らせが出されました。

こうして次のような混成部隊が作られました。

  ・山脇ゼミのゼミ生(4年生)  13人

  ・協働メンバー(学外の外国の方)11名

さらには、アドバイザー制度が導入され、アドバイザーとなった私は何回かミーティングに参加して、プロセスを楽しませてもらいました。

拡大会議の実施場所は、中野にある丸井本社ビル2階の「ワークスペース」です。まさに大学、行政、企業が協働し、機関を越えて対話しながらイベントを創り上げていくことになりました。

■対話を重ねて企画、運営について考える

「ちえるあるこ」は、エスペラント語で「虹」を意味しますが、実行委員会は、まずこんなことを会議で提示しました。

    【ちえるあるこカルチャー】

     「ち」 ちからをあわせよう

     「え」 えんりょしないで、なんでも言おう

   「る」 るーるをまもって行動しよう

     「あ」 あいての考えを大切にしよう

     「る」 るーつの違いを越えて協働しよう

     「こ」 こころにやさしい気持ちを持とう

そして、「ちえるあるこオリンピック」でどんなゲームをするかについて、グループに分かれて話し合いをしました。その後、そのゲームがなぜ良いと思うのかについてプレゼンがあり、最終的に3つのゲームが決まりました。その時の観点は、次の3点です。

*初めて参加する人同士で協働が体験できるもの

*子どもから大人までみんなが楽しめるもの

*国籍などに関わらず誰でも楽しめるもの

誰かが決めたものをみんなで作っていくのではなく、すべて実行委員全員で話し合いをしながら進めていき、次の段階として役割分担を決めていくというプロセスは、みごとでした。

   

■当日の「ちえるあるこオリンピック」は、大盛会!

こうして迎えた「ちえるあるこオリンピック」は、お天気にも恵まれ、たくさんの人々が参加してくださいました。ゲームは、「卵とスプーンのレース/ボール当てゲーム/みんなでお絵かき」の3種類です。朝一番のチームの子どもさん達は「何やるのかなあ」とお母さまに手を引かれてそろりそろりと参加していったのですが、時間が経つにつれ、引き込まれていきました。

実行委員会は、小さい子どもさん達の気持ちを盛り上げるため、動画「ちぇるこーんのおはなし」を準備し、一つのステップが終わると動画を流すという手法で、子ども達の関心を高めていきました。なんと、その4つの動画には、すてきなストーリーがあるのです。URLを載せておきましたので、ぜひご覧ください。

また、ゲームには、さまざまな工夫、配慮がありました。たとえば、「卵とスプーンのレース」では、玉子を載せるスプーンとして、大きさ、形、さまざまな物が用意されており、自分の力・興味に合わせて取り出すことができるようになっています。こうした工夫も、みんなで話し合いながら進めていきました。

最終チームが終了し、みんなで記念写真を撮りましたが、参加した子ども達も実行委員の皆さんも笑顔がいっぱい!とてもすてきな秋の1日となりました。

会場で、参加した方の声をいろいろ伺いました。一つご紹介したいと思います。

私は近くに住んでいるんですが、今日は父と子ども達と参加しました。こういうイベントはいいですね!娘は1歳、息子は3歳ですけど、楽しませてもらいました(お嬢さんは、実行委員が何か言うと、何度も何度も大きく拍手をしてくれました)。実は、私の妹は、明治大学(中野キャンパス)を今年卒業したんですよ。今日はお世話になりました。

■大学生との「対話」から学んだこと

「1年かけて、作り上げていった「ちえるあるこオリンピック」、一体どんな思いで作り上げていったのだろうか。プロセスでどんなことがあったのだろうか」という思いが、私の中で大きくなっていきました。そこでお声がけをして、山脇ゼミ長の野田さんと、実行委員長の松村さんと3人でお話をする機会を持つことになりました。

  ゼミ長の野田さんと実行委員長の松村さん

Q1:ゼミ生と協働メンバーの協働がうまくいったのは?

A:言語も文化も一つの個性ですけれど、それ以外の面で、それぞれに個性があって、一人ひとりが持つ個性を生かしていったことで、仲間意識も高まりました。

Q2:具体的な工夫は?

A:ゼミ生対協働メンバーという1対1のペアを作りました。バディー制度です。それによって、お互いにしっかり向き合うことで、その人の強みが見えてきました。それは、ゼミ生同士でも同じです。

Q3:毎週水曜日に実施したミーティングの出席状況は?

A:ほとんど欠席がなく、参加してくれました。「オンライン」とも思ったんですが、最後まで「対面で!」と、みんなで集まって頑張りました。

Q4:苦労した点は?

A:日本語のレベル差が大きくて、どのようにしたらいいか戸惑うこともありました。仕事の割り振りも、そうした点をもっと考慮したらよかったな、と今思います。

また、ゼミ生だけでやっている時は、スケジュール調整なども楽でしたが、さまざまな協働メンバーの都合なども考えなければいけないので、大変な面もありました。でも、「みんなで一緒に考える」ということだけは大切にしました。

A:協働がテーマですけど、この協働というキーワードをどこまで重視するか。そして、ゲーム性をどこまで入れ込んでいくか、このあたりのバランスに気をつかいました。

Q5:当日は予想以上の参加者数。大盛会だったが、反省点は?

A:いっぱい来てくださって、当日列ができたくらいです。でも、実は、当日の参加者同士の協働をもっと大切にしたかったんですが、それは難しかったです。子どもさんの参加が多く、「さまざまな人々と交流」という点では十分ではなかったと思います。

Q6:今回の活動で、良かった点は?

A:ゼミ生だけでは生まれないアイディアがどんどん出てきました。やっぱりいろいろな人が関わるっていうことは、素晴らしいと思いました。1年近く一緒に活動してきた協働メンバーとは、これからもずっと仲間という関係を築けたことが、本当に良かったです!

新潟のセミナーでお会いしたハウさんとも再会!

  ◆     ◆     

「ちえるあるこオリンピック」実行委員会の活動を通して、私は若者の無限の可能性を感じました。閉塞感のある日本社会に、新しい風を吹き込んでくれることを願っています。

         ♪   ♪   ♪

【当日使用した「ちぇるこーんのおはなし」動画】

   短い動画です。ぜひちょっと覗いてみてください。

                <説明>

山脇ゼミ12期生が、2022年11月12日に中野セントラルパークにて行ったイベント「ちえるあるこ」で使用したアニメです! 主人公はオリジナルキャラクターの「ちぇるこーん」。アニメには、ちぇるこーんを幸せにするための3つのミッションが出てきます。参加者の皆さんには、このアニメを見ていただき、ミッションをクリアするために、3つのゲームに挑戦してもらいました。 ゲームは、”卵とスプーンのレース”、”ボール当てゲーム”、”みんなでお絵かき”です。 このイベントを通して、それぞれの違いを活かし「協働」する大切さを伝えることができました!

【ちぇるこーんのおはなし①】     https://youtu.be/QTmvDP4TCsQ 

【ちぇるこーんのおはなし②】     https://youtu.be/LJXpvgkpKvo

【ちぇるこーんのおはなし③】     https://youtu.be/0VwS4umIKrM

【ちぇるこーんのおはなし④】     https://youtu.be/_7ukqF-FZ84

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