~「継承語から繋生語」という考え方に魅せられて~
8月末、オーストラリアで継承語教育に関わるトムソン 木下 千尋さんが、アクラスをお訪ねくださいました。昨年から「子どもの日本語学習支援」に関係を持ち始めた私は、トムソンさんのお話を夢中で伺っていました。その中で、次のようなトムソンさんの論文も教えていただきました。
トムソン 木下 千尋「継承語から繋生語へ ― 日本と繋がる子どもたちのことばを考える ―
(ジャーナル「移動する子どもたち―ことばの教育を創発するー」
http://gsjal.jp/childforum/dat/jccb12-2.pdf
また今回、研究会「オーストラリアで日本語を使う子どもを育てる」に招待してくださいました。これから、さまざまな継承語教育を考えていく上で、多角的に学びたいと思っています。研究会に関心のある方は、トムソンさんまでご連絡を!
参考:上記の論文の「要旨」を引用しておきます。
■要旨
移民先で親の言語を伝承していく場合,「継承語」ということばが使われてきました。移民のことばを語る上で大切な役割を果たしてきたことばですが,制約もあります。本稿では「継承語」に代わる「繋 生語(けいしょうご)」という新しいことばを提唱します。「繋生語」 は,海外に住む日本と繋がる子どもたちのことばを表します。子どもたちが親から受け継ぐことばも含め,親や家族,友だち,社会との繋がりから生まれ,さらなる繋がりを生み,そこで新しい意味を生み出し,その繋がりを次の世代に繋げていくことばです。オーストラリア在住の日本と繋がる子どもたちのことばを私(筆者)がどのように考えてきたか,「継承語」ということばでは表しきれない子どもたちのことばを「繋生語」という新しいことばで表したいと思うようになった過程を共有し考察します。
ⓒ 2021. 移動する子どもフォーラム.http://gsjal.jp/childforum/