地域日本語教室など

 鶴見国際交流ラウンジ:子ども日本語教室「あおぞら」を訪ねて~みんなを包み込む「つるみ学習支援教室」のあり方~

 

7月5日(土)、つるみ学習支援室「あおぞら」(小学生対象:1年~6年生)にお邪魔しました。それは、私が担当する10月1日の「日本語サポーター入門講座」の前に、ぜひ鶴見区で実施されている子ども教室を拝見しておきたいと思ったからでした。40人近い小学生、そしてほぼ同数の支援者数という大所帯ですが、随所に工夫が見られ、さまざまな学びがあった見学でした。

駅前ビル「シークレイン」の2階です。

■「見学者もいっしょに活動!」というやり方

「子ども教室、ちょっと見せていただけませんか」と、軽い気持ちでお願いしたのですが、なんと事前に「良かったら、支援に入っていただけませんか」というご連絡がありました。当日行ってみると、すでに「スケジュール表」に私の名前と、ペアになる生徒さん(中国出身の6年生の方)が記されていました。こうしてただ後ろから見るだけでなく、一緒に活動をさせていただけるのは、貴重な体験です。

見ると、その日の支援者は40名、生徒さん39名の名前がずらり。支援者側には、大学生や高校生のお名前もたくさんありました。こうして、学生さん達が、区内にある教室で実際に「外国につながる子ども支援」を体験し、それを学校の学びに生かせるというのは、素晴らしい取り組みです。周りを見回すと、大学生のお兄さんやお姉さんと楽しそうに話をしたり、真剣に算数の宿題をやったりと、さまざまなペアが目に入りました。

■事前に、40組のマッチング表作成!

それにしても、40ものペアを事前に作っておくのは大変なのでは・・・とお尋ねしてみると、こんな答えが返ってきました。

以前は、その日にマッチングをしていました。でも、ここまで大勢になると、それは難しいですし、やっぱり前もってペアを作っておくことで、当日スムーズにいきますね。今は、木曜日までに欠席の連絡をしていただいているので、うまくいっています。

私が関わっている杉並区の子ども教室では当日マッチングという状況であり、なんとかしたいと思っていたところでした。実施回数や内容など、それぞれに違いはありますが、ぜひ取り入れたいシステムだと思いました。

各地で、子ども日本語支援の必要性は高まっているのですが、場所の確保に苦慮している所が多いこと、多いこと! 毎回場所の確保に苦労しているボランティア団体も多々あります。また、行政がやっている教室であっても、常に使える場所としては確保できず、毎回荷物運びに苦労している団体もあります。

そうした中、「つるみ学習支援教室」は、鶴見駅から徒歩2分というとても便利な所にある鶴見国際交流ラウンジでの実施であり、スペース的にも恵まれた環境にありました。ロビーには、いろいろな教材が常設されており、生徒さんが支援者と一緒に「これ、やりたい」と取りにいっているのが、印象的でした。

また、今年の7月から、鶴見大学の教室をお借りして、外国につながる小学4~6年生を対象にした「T-Kidsサテライト」教室が新たにスタートするそうです。こうして、大学生が支援活動にも参加すれば、場所も提供という関係性に大きな可能性を感じました。

■つるみ学習支援教室の成り立ちと今

2009年8月に、鶴見区とABCジャパンとの協働によって、「つるみ学習支援教室」がスタートしました。翌年、鶴見国際交流ラウンジが開設されたことから、教室は、鶴見区からの委託事業として国際交流ラウンジが実施することとなりました。

 ※ABCジャパンのサイトから紹介文を記載します。/https://www.abcjapan.org/

NPO法人ABCジャパンは2000年に設立された非営利団体で、神奈川県横浜市鶴見区に住むブラジル人を主な対象として支援しています。

最初は月2回小1から中3までが一緒に勉強する教室でしたが、やがて中学生クラスを分けることになり、現在では、以下のような形で実施しているそうです。

     小学生のための学習支援教室「あおぞら」        

         毎月第1、第3土曜日実施

     中学生のための学習支援教室「なないろ」

         毎週月曜日実施

■「外国につながる小中学生のための夏休み宿題教室」実施

もうすぐ夏休みに入りますが、ロビーにはこんなポスターが貼ってありました。8月の下旬に4日間、外国に繋がる小中学生のために実施される「夏休み宿題教室」のお知らせです。いつもの教室支援者に加え、これだけの人数の支援者を募集。それだけニーズがあるということですね。

昨年も同様に夏休み教室が行われたことから、そのデータを見てみると……。参加者数は以下のようになっていました。

            子ども 1日平均    57人

            サポーター      57人

                                                      ・

子どもさんの「今」は待ったなし。できるかぎりの支援をしたいものです。また、その子どもさんが「どこに住むことになったか」で、学びの機会に違いが生まれることがないよう、さまざまな地域でも先進事例をもとにしながら、その地域にあった形で進めていくことが重要です。子ども日本語支援の大切さ、難しさ、そして可能性を噛みしめながら、ラウンジを後にしました。

<情報>

「あおぞら」と「なないろ」についての記事がありますので、URLを載せておきたいと思います。

中学生のための「なないろ」

   <多様な文化のなかまと交流できる「なないろ」>https://note.com/tsurumilounge/n/nb38ec8d85157

小学生のための「あおぞら」(ヨークピアより)

  <外国につながる小学生のための学習支援教室「あおぞら」コロナ禍でのオンライン授業>

/https://www.yokeweb.com/wp-content/uploads/2022/07/2020%E5%B9%B48%E6%9C%88%E5%8F%B7.pdf

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