現場から

ウィスコンシンで出合った「オクラホマ大学のTシャツ」~Tシャツに込められた「日本語学習」への思い~

8月1日から3日に、ウィスコンシン大学マディソン校にて、 日本語教育国際研究大会(ICJLE)が行われました。2年ごとに(ある時期は、毎年)実施されていましたが、コロナ禍などの影響で、今回は6年ぶりの実施となりました。

湖畔に面した素晴らしい大会会場、熱気あふれる発表やワークショップの数々、大勢の人々が一堂に会したレセプションなど、忘れられない思い出がいっぱいです。何しろ参加者は、対面だけで542名、たくさんの懐かしい方々との再会、新たな出会いがありました。

そんな中で、ぜひご紹介したいものの一つとして、「オクラホマ大学のTシャツ」があります。会場を歩いていると、右の写真のようなTシャツを着ている方に出会いました。赤と黒だけで作りあげた見事なデザイン。

 「面白い!きっと学生さんの作品だろう。もしかしてオクラホマ大学でTシャツコンテストがあったのでは?」

などと思いながら見ていると、なんとワークショップ仲間の坂本正さんのお知り合いでした。

中田美智子さんは、2年前からオクラホマ大学で日本語を教えている方で、このTシャツを皆さんにも見てほしいと、大会1日目に着ていらしたのだそうです。

 「これを作った学生さんは、大学2年生。日本語が大好きなんですよ」と教えてくださり、写真を撮ることも許可してくだいました。そこで、帰国後、ぜひこのTシャツを皆さんに紹介したいと思った私は、中田さんに紹介記事をお願いしました。どうぞご覧ください。

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オクラホマ大学は、アメリカ中西部オクラホマ州の第三都市・ノーマンにあります。

近隣のエリアの住民以外にはあまり聞き馴染みのない州かもしれませんが、メキシコとの国境のあるテキサス州のすぐ北部に位置する、と聞けばなんとなく地理的には想像がしやすいかもしれません(多くの方がオクラホマといえばフォークダンスの「オクラホマミキサー」を連想されると思いますが、どうも関係がないのか?誰に聞いても全く通じませんでした)。

当大学には大学生・大学院生が27,000名以上在籍していますが、白人・ラテンアメリカ系が7割を占め、アジア系が1割にも満たないため、キャンパス内では他のアジア言語はもちろん、なかなか日本語に触れることができません。

当大学の日本語プログラムでは初級から上級まで、200名以上の学生が、忙しい大学生活の中で時間に追われ苦労しながらも楽しんで勉強しています。

教師だけではなく学生発信の授業以外の集まりもよくみられ、学内の日本語コミュニティの構築・成長を促していると感じています。

日本人留学生との交流はもちろん、週に二度行われる日本語クラブ、学期に何度も行われる文化的なワークショップ、年度末のバーベキューパーティなどは、普段日本人や日本語話者と触れ合う機会の少ない学生にとって、モチベーションを維持・向上するのに非常に役に立っているように見えます(写真は日本語クラブのイベントのための、学生によるチョークアート。とてもよく目を惹き、たくさんのお客さんが来ました)。

そんな課外活動の一つに、「日本語クラブのTシャツコンテスト」なるものがあります。

毎年、日本語を履修していたり過去に履修していた学生にデザインを募って、新しいものを作成しています。どの年も甲乙つけがたい素晴らしいデザインが応募され、その度にいつも学生たちの熱意や創造性に圧倒されます。私は今までに3種のTシャツを手に入れ、機会がある際はそれらを着て見せびらかすようにしています。

褒めてもらえると私も自分のことのようにとてもうれしいです!(写真は2022年のTシャツ。オクラホマ大学のスクールカラーの赤と黒の二色刷りです)

普段は物静かで、クラスでなかなか積極的に発言できないような恥ずかしがりやの学生も、こうした機会に参加してくれます。教室内では見られない学生の新たな一面や才能をこうした場でクローズアップできるというのは、学生たちはもちろん、私たち教師にとってもまたとないチャンスです。日本語クラスでのパフォーマンスの評価はもちろん大事ですが、クラス外の学生たちの”time to shine”も大切にしていきたいと思っています。

参考:オクラホマ大学公式サイト  https://www.ou.edu/

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