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「外国人集住都市会議 SUZUKA2021」に参加して

2022年1月28日、第20回外国人集住都市会議がオンラインにて行われました。去年はコロナ禍で中止となったため、2019年12月の上田会議以来となります。今回のテーマは、以下のとおりです。

「ポスト・コロナ時代の新たな多文化共生社会の実現を目指して~総合的対応策の推進と日本語教育体制の構築~」

前回の「うえだ宣言」を見た時には、日本語教育について明確に書かれ、宣言の中に6回も「日本語教育」という語彙が出てきたことに、時代の動きを感じたものです。これは、その年の6月に「日本語教育の推進に関する法律」が施行されたことも大きく影響しています。

そして、2年ぶりに開かれた今回の「鈴鹿会議」では、さらに大きな変化が見られました。基調講演は、セブン‐イレブン・ジャパンの安井誠氏で、タイトルは「コンビニエンスストアを多文化共生の拠点に」でした。講演の中で発せられた「外国人材の立場で『人生設計を考える』」という言葉からも分かるように、単なる一時的な労働人口としてではなく、日本社会をつくる仲間という思いが感じられました。企業が外国の方々を‟人材”として考え始め、彼らの日本語学習にも注目してくれていることも、大きな変化だと言えます。詳しくは、公開されているパワポ資料をご覧ください。 【基調講演】コンビニエンスストアを多文化共生の拠点に(PDF)

第2部には、「外国人が地域で安心して暮らせるために」と「外国人が地域において多様に活躍していくために」と題する2つのセッションがありました。「生活支援」だけでなく「活躍支援」についてもしっかり語られていた点、良かったと思います。浜松の鈴木市長は、これまでの「課題解決型多文化共生」ではなく、「価値創造型多文化共生」を考える必要があると力説しておられました。

「総括」で、コーディネーターの山脇啓造氏が述べられたことを紹介したいと思います。

 

◆日本語教育の問題が重ねて取り上げられている点が印象的であった。ここまで日本語教育にフォーカスして議論をしたのは初めてである。国の責務で日本語の学習機会を無償で提供するということが始まろうとしている重要なタイミングでの会議であった。

◆これまでの多文化共生社会づくりを支えてきたのは、多様な市民団体。そして、さらに企業の役割が大きく期待されるようになってきた。来月には、経団連から新しい提言も出される。これからより積極的に企業が関わっていくことが大切である(前回の提言は2004年)。

◆多文化共生社会づくりを進める上で、法律と組織は重要なテーマである。これまでも集住都市会議では、省庁横断的な組織を作るべきだと、何度も提言を繰り返してきたが、法律については初めて公式に提言として出されたものである。

    

また、特定技能の在り方を見直す必要があることも指摘されました。コロナ禍という特別な状況であることを考慮しても、留学生や技能実習生からの変更が多いという状況は、本来の姿とは大きくかけ離れているのではないでしょうか。特定技能2号となれば、家族へのサポートも求められてきます。そのあたりへの十分な対応もなく対症療法的なやり方では、将来に禍根を残すことになります。

日本語教育に関しても、日本語教師の国家資格化が目下の焦点になっていますが、法案成立後に、どのようなコンセプトで、どう活躍の場を創出していくのかも重要な課題であると言えます。

では、最後に資料と、「SUZUKA宣言」を載せておきます。

セッション1「外国人が地域で安心して暮らせるために」
上田市 市長 土屋 陽一 発表資料
鈴鹿市 市長 末松 則子 発表資料
亀山市 市長 櫻井 義之 発表資料
総社市 市長 片岡 聡一 発表資料

セッション2「外国人が地域において多様に活躍していくために」
浜松市 市長 鈴木 康友 発表資料(PDF:2,123KB)
津市 市長 前葉 泰幸 発表資料(PDF:1,492KB)
四日市市 市長 森 智広 発表資料(PDF:1,577KB)

    SUZUKA宣言 https://www.shujutoshi.jp/2021/s08.pdf

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